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遺産分割

遺産分割の対象となる財産の範囲はどこまでか?

遺産分割の対象となるのは,相続財産のすべてとは限りません。ここでは,遺産分割の対象となる財産の範囲について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

(著者:弁護士

遺産分割の対象となる財産の範囲

相続開始されると,被相続人が有していた一切の権利義務が,相続財産として相続人承継されることになります。

もっとも,だからといって,その相続財産のすべてが遺産分割の対象となるのかというと,そういうわけではありません。相続財産の内容・性質によっては,遺産分割の対象とならないものもあります。

逆に,そもそも相続財産そのものとはいえないものの,紛争解決の観点から,遺産分割の対象とすべきではないかということが問題となる財産もあります。

したがって,すべての相続財産が,当然に遺産分割の対象となるわけではないということは注意が必要でしょう。

ただし,後述するとおり,遺産分割協議等において,相続人らの合意によって,遺産分割の対象とする財産を決めることは可能です。

なお,この遺産分割対象財産の価額をどの時点で評価するのかということは1つの問題とされていますが,実務上は,相続開始の時ではなく,遺産分割審判時(調停の場合にはどの時点を基準実とするのかも,話し合いによって決めることになります。)であると解されています。

>> 遺産分割とは?

遺産分割対象財産に含まれない相続財産

前記のとおり,相続財産であっても,当然には遺産分割の対象とはならない財産があります。

それが可分債権です。可分債権とは,可分(分けることができる)な給付を目的とする債権のことをいいます。

最も代表的なものは,金銭債権です。預貯金も,法的にいえば預貯金の払戻請求権という金銭債権ですから,この可分債権に含まれます。

判例・通説によれば,金銭債権その他の可分債権は,遺産分割を経ることなく,法律上当然に分割されて,各共同相続人がその相続分に応じて権利を取得すると解されています(最一小判昭和29年4月8日最三小判昭和30年5月31日等)。

そのため,可分債権である預貯金払戻請求権は,相続開始とともに法律上当然に分割されて,各共同相続人が相続分に応じて権利を取得するため,共同相続人間でそれを遺産分割の対象とする旨の合意がない限り,原則として遺産分割の対象とならないと解されていました(最判平成16年4月20日等)。

しかし,預貯金は,現在では現金に近い財産と考えられており,実際の遺産分割においても,共同相続人間での合意のもと遺産分割対象財産に加えられるのが通常でした。

そこで,現在では,預貯金払戻請求権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく,他の可分債権と異なり,遺産分割の対象になると解されるようになっています(最大判平成28年12月19日)。

なお,現金は遺産分割の対象とされています。

>> 金銭その他の可分債権は遺産分割の対象となるのか?

遺産分割対象財産に含まれ得る相続財産ではない財産

相続財産でない財産は,遺産分割対象財産には含まれないのが原則です。

>> 相続財産とは?

生命保険金・死亡退職金等

たとえば,生命保険金死亡退職金などは,受取人固有の財産であるため,そもそも相続財産に含まれないと考えるのが通常です。したがって,遺産分割対象財産に含まれないのが原則ということになります。

しかし,これら生命保険金や死亡退職金についても,相続人間で遺産分割の対象とするという合意がなされれば,遺産分割の対象とすることができます。

また,判例によれば,保険金等の受取人と他の共同相続人との間に著しいほどの不公平が生ずるような場合には,その受領した生命保険金等が特別受益として持戻しの対象となり,それによって,一定の調整を図ることができると解されています(最二小判平成16年10月29日)。

>> 生命保険金は相続財産に含まれるか?

祭祀に関する財産

その他,祭祀に関する財産は,(厳密にいえば相続財産に含まれるといえますが)通常の相続とは異なる形で財産の承継が行われる財産ですので,遺産分割の対象とはならないと考えるべきでしょう。

もっとも,誰を祭祀の継承者とするかも,相続人間で話し合って決めることを妨げる必要はありません。したがって,やはり,相続人間で遺産分割の手続内で話し合って誰を祭祀継承者とするかを決めることは可能です。

>> 祭祀に関する財産(祭祀財産)は相続財産に含まれるのか?

相続開始後遺産分割までの間に生じた代償財産・果実

相続財産そのものとはいえない財産として,相続開始後遺産分割までの間に発生した相続財産の代償財産相続財産から生じた果実などがあります。

代償財産とは,たとえば,相続財産であった不動産が特定の相続人によって売却されてしまった場合に,その不動産の代償として発生する代金債権など,相続財産そのものではなく,相続財産の代わりになるものといえる財産のことをいいます。

また,法律上の果実(かじつ)とは,物から生ずる収益のことをいいます。樹木からとれる果物(くだもの)も法律上の果実ですが,さらに,所有不動産等から生ずる賃料収入なども法律上の果実に当たります。

これら代償財産や果実は,相続財産そのものではありません。したがって,相続開始後遺産分割までの間に生じた代償財産や果実は,原則として遺産分割の対象とはなりません。

しかし,相続財産から生じているのですから,これを分割対象としないと不公平を生ずることもあります。

そこで,遺産分割手続において相続人間で対象財産とする合意がなされれば,遺産分割対象財産として扱われることになります。

>> 相続財産からの果実は遺産分割の対象となるのか?

遺産分割対象財産となるかが問題となりやすい財産

遺産分割の対象となるのかどうかが問題となることの多い財産としては,以下のようなものがあります(※なお,以下で遺産分割対象財産に含まれないとしている財産であっても,相続人間で遺産分割対象財産に含めるという合意があれば,遺産分割の対象となります。)。

現金

前記のとおり,遺産分割対象財産に含まれます。

>> 現金はどのように遺産分割されるのか?

預貯金

前記のとおり,原則としては遺産分割対象財産に含まれませんが,実務では,預貯金を含めて遺産分割を行うのが通常です。

>> 預金・貯金はどのように遺産分割されるのか?

生命保険金

前記のとおり,生命保険金は相続財産にはなりません。したがって,遺産分割対象財産にも含まれません。ただし,内容によっては,特別受益による持ち戻し対象となることはあります。

>> 生命保険金は遺産分割の対象となるのか?

死亡退職金

前記のとおり,死亡退職金は相続財産にはなりません。したがって,遺産分割対象財産にも含まれません。また,特別受益による持ち戻し対象ともならないと考えるのが一般的です。

>> 死亡退職金は遺産分割の対象となるのか?

不動産

遺産分割対象財産に含まれます。

>> 不動産はどのように遺産分割されるのか?

動産(自動車・宝飾品等)

遺産分割対象財産に含まれます。ただし,特定ができない場合には,遺産分割対象財産とはならないと解されています。

>> 動産はどのように遺産分割されるのか?

社員たる地位・社員権

株式会社の社員たる地位(株式)・社員権は,相続によって相続人らの準共有となり,遺産分割対象財産に含まれると解されています。特例有限会社の場合も同様です。

他方,合名・合資・合同会社(持分会社)の社員たる地位(持分)・社員権は,相続財産に含まれないため,遺産分割の対象とはなりません。

>> 社員たる地位・社員権は遺産分割の対象となるのか?

社債・国債

社債・国債は単なる債権ではなく,相続人の準共有となり,遺産分割対象財産に含まれると解されています。

>> 社債は遺産分割の対象となるのか?
>> 国債は遺産分割の対象となるのか?

投資信託

各投資信託の取扱いによって,可分のものと考えるか不可分のものと考えるのかという違いがあります。

可分のものであれば,遺産分割対象財産とはなりませんが,不可分のものであれば,準共有となり遺産分割対象財産となると解されています。

>> 投資信託は遺産分割の対象となるのか?

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