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遺産分割

不動産の賃借権はどのように遺産分割されるのか?

不動産賃借権も相続財産に含まれます。相続開始後,遺産分割により共同相続人の相続分が確定するまでの間,不動産賃借権は,それぞれの法定相続人に応じて共同相続人の準共有となります。この準共有関係は,遺産分割によって解消されますので,不動産賃借権については遺産分割が必要です。土地の賃借権については,更地の評価額に借地権割合を乗じて評価算出するのが一般的です。建物の賃借権は,建物価格に借家権割合を乗じて評価するのが一般的ですが,実際には評価困難な場合もすくなくありません。不動産賃借権の遺産分割方法としては,現物分割,換価分割,代償分割の方法があります。

ここでは,不動産の賃借権はどのように遺産分割されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

(著者:弁護士

不動産賃借権は相続財産に含まれるか?

賃借権とは,賃貸借契約に基づいて,借主が,貸主に対し,目的物を使用収益させるよう請求できる権利のことをいいます。

借主が死亡しても,賃貸借契約は終了しません。また,賃借権は被相続人の一身専属権とは言えません。目的物を使用収益できる権利ですので財産的価値もあります。

したがって,借主の賃借権も,相続財産に含まれます。

賃貸借の目的物が不動産である賃借権のことを「不動産賃借権」と呼んでいますが,この不動産賃借権も,相続財産に含まれます。

借地借家法における借地権や借家権も,不動産賃借権ですから,相続財産に含まれます。

ただし,公営住宅の使用権は,相続財産に含まれないと解されています(最一小判平成2年10月18日)。

不動産賃借権は遺産分割が必要か?

前記のとおり,不動産賃借権(公営住宅の使用権を除く。)は,相続財産に含まれます。

もっとも,不動産賃借権は,不可分債権です。相続開始によって,当然に各共同相続人にその相続分に応じて承継されるものではありません。

具体的に言うと,不動産賃借権は,相続開始されると,遺産分割によって共同相続人各自の相続分が確定されるまでの間,その共同相続人間で,各自の法定相続分に応じて「準共有」となります。

したがって,不動産賃借権は,遺産分割が必要となってきます。

たとえば,法定相続人として各2分の1ずつの法定相続分があるAとBとが法定相続人となった場合,相続財産として不動産賃借権があったとすれば,その不動産賃借権について,AとBが各2分の1ずつの持分で準共有することになるということです。

準共有するということは,お互いに,それぞれ当該1個の不動産全体に対して権利を有していることです。2分の1の持分しかないから,不動産の2分の1しか利用できないというわけではありません。

持分が2分の1であるというのは,たとえば,その不動産賃借権を売却した場合に受け取る金銭の2分の1を受け取ることができ,また処分等をするに際して,持分の割合が影響してくるということです。

その不動産全体に対して利用権を有していることは,持分が2分の1であろうが100分の1であろうが変わりがありません。

そして,この相続による準共有関係は,遺産分割によって,各共同相続人の具体的な相続分が確定されてはじめて解消されることになります。

>> 遺産分割の対象となる財産の範囲

遺産分割における不動産賃借権の評価

不動産賃借権を遺産分割するためには,その前提として,不動産賃借権の価額を評価しておく必要があります。

借地権の場合は,更地の評価額に借地権割合を乗じて評価算出するのが一般的です。借地権割合は,国税庁から公表されている路線価図に記載されている者を利用します。

更地評価額さえ分かればご自身で算出することも可能ですが,確実を期すのであれば,不動産鑑定士の鑑定や不動産業者の査定を取得しておくことになります。

借家権も,その建物価格に借家権割合を乗じて評価するのが基本です。

しかし,建物賃借権の場合,土地の場合と異なり,ただ他人の建物を借りるという権利ですから,使途が居住や従前と同様の利用に限られ,土地賃借権のように利便性が高いわけではありません。

そのため,建物賃借権の評価はかなり難しく,やはり不動産鑑定士や不動産業者に依頼して評価額を出してもらうのが通常でしょう。その場合でも,評価額が付かないことも少なくありません。

借地権以外の土地賃借権や借家権以外の建物賃借権については,相続税における評価方法を用いて評価額を算定することもありますが,不動産鑑定士や不動産業者に依頼して評価額を出してもらうのが通常です。

不動産賃借権の遺産分割の方法

遺産分割の方法には,現物分割,代償分割,換価分割,共有分割といった方法があります。

不動産賃借権を現物分割する場合,必ずしも不動産所有者の同意は必要ないと解されていますが,実務上は,不動産所有者の同意を得て現物分割するのが通常でしょう。

不動産賃借権を売却して,その代金を共同相続人間で分割する換価分割の方法もあります。ただし,不動産賃借権を売却するためには,不動産所有者の承諾が必要です。

代償分割は,共同相続人のうち誰か1人が賃借権を承継し,その共同相続人が,他の共同相続人に対して金銭を支払うことによって分割する方法です。不動産賃借権の遺産分割でもよく用いられます。

特に,建物賃借権の場合,一般的にそれほどの価値がありません。むしろ,賃料負担の方が大きいこともあります。

そのため,建物賃借権の承継を希望しているのが,被相続人と同居していた相続人だけで,その他の共同相続人は承継を希望していないということが少なくありません。

そのような場合には,承継を希望する相続人が建物賃借権を承継し,他の相続人に対して金銭を支払って遺産分割することになります。

なお,共有分割の方法も可能ですが,法律関係が複雑になるため,避けておいた方が無難でしょう。

>> 遺産分割の方法(遺産の分け方)とは?

賃料の取扱い

不動産賃借権の遺産分割においては,その不動産賃借権そのものだけではなく,賃料の支払いをどうするかということも問題となります。

相続開始前にすでに発生している賃料債務は,相続財産に含まれます。相続開始前の賃料債務は可分債務ですので,相続開始によって,当然に各共同相続人にその相続分に応じて承継されます。

これに対し,相続開始後に発生する賃料債務は,不可分債務です。したがって,遺産分割によって共同相続に各自の負担割合を決める必要があります。

もっとも,遺産分割がされていないからといって,賃料の支払いを滞納してしまうと,賃貸人によって賃貸借契約を解除される可能性があります。

そのため,遺産分割されるまでは,共同相続人の誰か1人が代表して賃料を支払っておき,遺産分割の際に清算するという方法がとられることが多いでしょう。

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