遺産相続の基本用語

遺産相続の基礎知識

相続財産(遺産)とは?

相続によって相続人に引き継がれることになる被相続人の権利義務を「相続財産」といいます。ここでは,この相続財産とは何かについてご説明いたします。

(著者:弁護士

相続財産とは?

相続が開始されると,被相続人に帰属していた一切の権利義務が,相続人包括的に承継されることになります。包括的に承継されるとは,要するに,そのまま受け継がれるということです。

この相続によって相続人に承継される権利義務の一切のことを「相続財産」といいます。一般的には「遺産」と呼ばれるかもしれません。

もっとも,遺産というと,物など形のある財産というイメージがあります。しかし,相続財産は,形のある財産に限られません。

前記のとおり,相続財産は,後述する被相続人の一身に専属していた権利義務を除いて,被相続人に属していた一切の権利義務が含まれます。したがって,物だけに限られず,被相続人が有していたある特定の地位なども相続財産に含まれます。

例えば,契約における一方当事者たる地位や契約の解除権者たる地位なども,相続財産に含まれます。

また,「義務」も含まれるわけですから,相続において承継される相続財産には,プラスの財産(資産)だけでなく,マイナスの財産(負債)も含まれます。

したがって,被相続人に借金があれば,その借金を返す義務は,相続人に承継されることになってしまうということです。

>> 相続とは?

相続財産の例外

前記のとおり,相続財産とは,被相続人に属していた一切の権利義務を意味します。もっとも,例外的に,被相続人に属していた権利義務であっても,相続財産に含まれず,相続によって承継されないというものもあります。

>> 相続が開始するとどのような効果を生じるのか?

被相続人の一身に専属していた権利義務

相続財産に含まれないものとは,被相続人の一身に専属していた権利義務です。

一身専属的な権利義務とは,その権利や義務の性質・内容からして,他の人に与えたり課したりすべきものではなく,その人にだけ与えられてしかるべき権利やその人にだけ課せられてしかるべき義務のことをいいます。

一身に専属していた権利義務とは,要するに,特定の被相続人だけが有することができ,他の人には有することができない権利義務です。

被相続人との個人的な信頼関係をもとにして成立した権利義務などは,あくまで被相続人と相手方との間の個人的な関係をもとにしているため,たとえ相続であっても,被相続人以外の人に承継させることは適当ではありません。

そのため,被相続人に一身専属する権利義務については,相続人には承継されないものとされているのです。

例えば,代理権,消費貸借契約における借主たる地位,雇用契約における被用者たる地位,組合員の地位などは,一身専属性があるものとして,相続財産には含まれません。

ただし,相手方の期待を裏切らないようまたは不当に利益を与えないように,この一身専属的な権利・義務となる範囲は,ごく例外的な限定されています。

例えば,金銭的な権利・義務については,原則として相続されるものと考えるべきでしょう。

>> 被相続人の一身に専属する権利義務とは?

生命保険の保険金等

相続財産に含まれるのかどうかについてよく問題となるのが,生命保険金死亡退職金などです。

生命保険金等は受取人固有の財産であり,仮にその受取人が相続人であっても,相続財産には含まれないと考えられています。ただし,相続税との関係では,受取人が相続人である場合には,課税対象となる相続財産に含まれる場合があります。

>> 生命保険金は相続財産に含まれるのか?

祭祀に関する権利

なお,上記の財産等とは別に,相続財産には該当するものの,通常の相続のルールでは分配されない財産というものもあります。祭祀に関する権利がこれに当たります。

この祭祀に関する権利は,祭祀主催者に承継されることになります。具体的には,墓地,仏壇,仏具などの財産が,この祭祀に関する権利に当たります。

また,遺骨についても,祭祀に関する権利には該当しませんが,これと同様に,祭祀主催者が埋葬のための管理権を有するとされています。

>> 祭祀に関する財産(祭祀財産)は相続財産に含まれるのか?

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