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遺産分割

金銭その他の可分債権は遺産分割の対象となるのか?

相続財産であっても,金銭その他の可分債権は遺産分割の対象とはならないのが原則とされています。ここでは,遺産分割の対象となる財産を確定させる基準時についてご説明いたします。

(著者:弁護士

相続における金銭その他の可分債権

相続開始されると,被相続人が有していた一切の権利義務が相続人包括的に承継され,また,相続人が複数いる場合には,遺産分割によって具体的な相続分が確定するまでの間,各共同相続人にその各自の相続分に応じて共有となるのが原則です。

もっとも,金銭債権などに代表される可分債権は,遺産分割を経ずとも,相続開始によって,当然に,各共同相続人の相続分に応じて,直接承継されるものと解されています(最一小判昭和29年4月8日最三小判昭和30年5月31日最判平成16年4月20日等)。

たとえば,相続財産として1000万円の金銭債権があり,相続人として,相続分4分の3のAと,相続分4分の1のBがいたという場合,遺産分割を経ずに,相続開始によって,Aに750万円の,Bに250万円の金銭債権が相続されるということになります。

>> 相続が開始されると可分債権はどのように扱われるのか?

遺産分割における金銭その他の可分債権の取扱い

前記のとおり,金銭その他の可分債権は,相続の開始によって,遺産分割を経ることなく,各共同相続人に対して,それぞれの相続分に応じて当然に分割されて帰属することになります。

したがって,原則論でいえば,金銭その他の可分債権については,遺産分割をする必要がないということになります。各共同相続人が各自で分割された金額を債務者に請求すればよいだけになるということです。

預貯金債権の取扱い

この可分債権のうちで,特に問題となることが多いものは,やはり預金・貯金払戻請求権(預貯金債権)でしょう。

預貯金払戻請求とは何かというと,要するに,被相続人名義の銀行預貯金口座からお金を引き出すということです。

預貯金債権については,かつては,他の可分債権と同様,遺産分割の対象にならないと解されていました(最判平成16年4月20日等)。

しかし,預貯金は,決済機能が重視され,現金とそれほど異ならないものとして扱われているのが通常ですことなどから,現在では,預貯金払戻請求権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく,他の可分債権と異なり,遺産分割の対象になると解されるようになっています(最大判平成28年12月19日)。

したがって,可分債権は遺産分割の対象にならないのが原則であるものの,例外的に,可分債権の内でも預貯金債権については遺産分割の対象になる,ということです。

ただし,上記最大判平成28年12月19日においては,預貯金以外の可分債権を遺産分割の対象とすべきとの意見も補足意見も付されており,今後は,預貯金以外の可分債権を遺産分割においてどのように扱うべきかが議論の対象となっていくと思われます。

>> 遺産分割の対象となる財産の範囲

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